2019年 第3四半期 金融フロントオフィス採用動向

熊沢 義喜 September 20, 2019目安: 1分

Morgan McKinleyでは三か月ごとに金融フロントオフィス採用市場のマーケット情報をお届けしています。前期の総括、今期の見通しをまとめましたので、どうぞお役立てください。

2019年第3四半期の転職市場の主なトレンドは?

お盆・夏休みシーズンを挟んだにも関わらず、2019年第3四半期の転職市場は非常に活発でした。業種や企業による温度差はありましたが、投資銀行・証券から銀行、格付け会社、フィンテック、PE、ヘッジファンドに至るまで、金融フロントオフィスの採用は全体として上向いています(文末データ参照)。

Financial Services Front Office recruitment trends

まず投資銀行・証券会社の採用動向ですが、大手外資の組織再編による影響が見られました。セールス&トレーディング部門が人員を削減したため、エクイティ部門の求人数が近年稀にみる水準まで落ち込んだ一方、投資銀行部門(IBD)は戦力を増強しています。具体的にはM&A部門(特にクロスボーダー関連)、投資銀行カバレッジ部門(特にTMT)、資本市場部門(特にECM)におけるジュニアバンカーの求人が増えました。

商業銀行においては前期に引き続きトランザクションバンキングの採用需要が高く、キャッシュマネジメント、トレードファイナンスともに外資系を中心にジュニアからシニアまで様々な人材が動きました。RM職でも一定程度の求人(特に多国籍企業担当)がありました。

格付け会社では、クレジットリサーチの採用が進んでいます。フィンテック各社も採用に積極的です。外資系PEでは、アソシエイトからシニアアソシエイト程度の中堅案件が目立ちました。
またヘッジファンドで多かったのは、日本株ロングショートエクイティ、インベストメントアナリストなどの募集です。

最も需要が高かったスキルは?

投資銀行部門(IBD)において最も需要が高かったのはM&A経験を有するジュニアバンカーです。投資銀行からの転職者はもちろん、銀行、会計事務所系アドバイザリー会社(FAS)でのM&A経験者も多くの場合選考対象となっています。また、投資銀行カバレッジバンカー経験を求める企業も目立ちました。セクター別に見るとテクノロジー企業を担当するTMTセクターの案件が最も多く、次いで金融法人(FIG)という結果となりました。

資本市場部門において採用ニーズが高かったのが、ECMのジュニアバンカーです。セールス&トレーディング部門では、欠員補充のため即戦力を求める案件が目立ちました。株式部門では、エレクトロニックトレーディング、また株式調査のセクターアナリスト求人もあり、小売の経験者が求められました。債券で需要が高かったのは外債セールスでした。

商業銀行において求められたスキルの筆頭として挙げられるのが、キャッシュマネジメント経験です。クロスボーダーディールを担当できるRMの需要もありました。

格付け会社で求められたのは信用分析能力です。フィンテックではペイメント業務に関わるスキルが高く評価されました。またPEではM&A経験及びLBOモデリングスキルが必要とされています。ヘッジファンドの動向としては、財務諸表を埋めるモデリングスキルと、日本株の株価を評価するケーススタディのプレゼン能力が重視されています。

転職市場において需要と供給が釣り合わず、スキルギャップが大きい分野は?

投資銀行部門(IBD)においては、クロスボーダーM&Aのオリジネーション能力を持つ人材が不足しています。このため、同業の投資銀行におけるクロスボーダー業務経験者に加えて、上述のように銀行や会計事務所系アドバイザリー会社(FAS)出身者も選考対象になっています。また、カバレッジバンカー採用でボトルネックとなっているのは、日英に加えて中国語で業務が遂行できる人材が少ないことです。ここでは、ビジネスレベルでの会話能力に加えて、中国語におけるドキュメンテーション能力が求められています。

資本市場部門においては、ユーロ債の金融法人を対象としたオリジネーションができるDCMバンカーが足りません。エクイティ分野では、エレクトロニックトレーディングのシステム知識と営業能力を併せ持つプロフェッショナルは交渉を有利に進めています。債券では、フロー及びノンフロークレジットの中央金法向け営業の候補者が少なく採用が難航しました。円債フロー商品を海外拠点ヘッジファンドに効果的にセールスができる人材も希少です。

商業銀行で見られたスキルギャップは、インド市場でジャパンデスクを担当する能力です。

フィンテック各社ではシニアマネージャーとして営業だけでなくバックオフィスも統括する能力が求められています。クレジットカード会社のビジネスモデルに明るく、ブランドマーケティング経験がある人材は更に高評価です。PEでは、LBOモデリングが得意で且つ英語が堪能な人材が、またヘッジファンドでは日本株ロングショートエクイティのリサーチ、特にテクノロジーセクターの分析能力が非常に高く、英語が堪能な人材がそれぞれ不足しています。

2019年第4四半期の転職市場の見通しは?

投資銀行部門(IBD)の採用市場は堅調が続く見通しです。M&A業務の経験を有するジュニアバンカーの需要は高く、今期もこのトレンドは続くでしょう。投資銀行カバレッジバンカーは、前期も採用が活発だったTMTセクターに加え、ヘルスケアセクターの案件が増えそうです。投資銀行業務未経験者を対象としたアナリストプログラムも加速すると思われます。セールス&トレーディング部門においては、残念ながらあまり求人件数の増加を期待できませんが、外債セールス、特にフローセールスの採用を検討している企業や、株式調査のエントリレベル人材を登用したいという企業はあります。

商業銀行は、トランザクションバンキングの即戦力の採用を狙っています。キャッシュマネジメント経験を有するバンカーや、クロスボーダーディールを担当できるRMスキルを有するバンカーは転職活動を有利に進めることができるでしょう。

格付け会社では、特にジュニアレベルのクレジットリサーチ案件が出てくる見込みです。フィンテックの採用キーワードはペイメントソリューションです。ペイメント業務経験者は経験年数を問わず、様々な活躍の場を見出すことができるでしょう。PEはM&A経験及びLBOモデリングスキルを持つジュニア人材に注目しています。ヘッジファンドにおいては、インベストメントアナリストのニーズが続きそうです。

【数字で見る金融フロントオフィス採用市場:2019 第三四半期】
金融フロントオフィスの求人件数推移

  • 前期比 +18%
  • 前年同期比 +33%

金融フロントオフィスの転職志望者(新規登録者数)推移

  • 前期比 +42%
  • 前年同期比 +95%
     

2019年 第三四半期 金融フロントオフィス採用動向

Yoshiki Kumazawa's picture
シニアマネージャー | 銀行&金融, フロントオフィス 紹介部門
ykumazawa@morganmckinley.com

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