2018年は求人数12%増、転職希望者14%減:人材難により各社の採用プロセスに変化

【2019年3月8日】東京 :外資系人材紹介会社モーガンマッキンリー(東京都港区)が最新の給与ガイドを発表しまし、2018年に積極的に転職活動をした人の数が前年比で14%減少したことを明らかにしました。

2018年は全体的に応募者数が減少した結果、募集要件の緩和や選考プロセスのスピードアップなど、適切な人材を確保するために現実的な対応をとる企業が目立ちました。具体的には必要業界経験年数の引き下げ、従来とは異なるタイプの経歴の人材など選考対象の拡大、オンライン技能テストやビデオ会議面接の導入といった変化が見られました。特に金融やIT業界経験者は引く手あまたで、複数社の面接をかけもちする候補者も多く、売り手市場を背景に給与交渉を有利に進めています。

候補者不足の影響で2018年は外国籍の人材の採用も加速しました。内定を獲得した外国人候補者の日本語能力は基本的にビジネスレベル以上でした。同時に、ビジネスレベルの英語力を求める企業の数も増加しています。

こうした深刻な人材不足にも関わらず、全体の採用件数は資産運用、人事、IT、財務、経理、コンサルティング、セールス、リスク管理、金融オペレーションやミドルオフィスの職種を中心として12%増加(2017年比)しています。このことからもわかるように、2018年は採用に前のめりだった企業が多く、転職希望者にとっては選択肢が豊富な売り手市場でした。企業同士の競争により給与水準も上昇しています。各社は人材の流出を防ぐため様々な対策を講じています。

2019年の雇用市場についてモーガンマッキンリー日本法人のマネージングディレクター、ライオネル・カイダツィスは次のように述べています。「英国のEU離脱や米中の貿易摩擦の行く末が案じられる中、採用計画を縮小する企業があるのではと考える方も多いでしょう。しかし2019年の求人市場の滑り出しは堅調です。企業が新しい年の採用計画を練り上げる1-3月期は通常閑散期にあたることを考慮すると幸先の良いスタートと言えます。雇用動向調査でも採用企業の87%までが直近の6か月で採用需要は変わっていない、又は拡大している、と回答しており、採用に前向きな姿勢が感じられました」

また転職希望者の間では、在宅勤務やフレックスタイム制などワークライフバランスの改善に取り組んでいる企業が人気です。2019年4月から順次施行される働き方改革推進法ではひと月あたりの残業時間が100時間未満に制限されますが、高度プロフェッショナル制度の下多くの職種がこの規制の対象外となります。法改正による実際のワークライフバランスの改善効果は限定的であると思われ、企業独自の取り組みに期待がかかります。
 

モーガンマッキンリーの調査には多様性に関する質問も含まれており、回答企業の約半数が採用に関するダイバーシティ方針を定めていることがわかりました。「ビッグ4」といわれる四大会計事務所では、勤務時間の制限や柔軟な働き方を認める勤務制度など、多様な人材が活躍できる職場環境を整えることでダーバーシティの実現においても一定の成果をあげています(同時に、時短が進んだ結果人員体制の強化が必要となりコンサルタントを増員しています)。しかしながらダイバーシティ戦略を策定している企業もジェンダー・バランスの是正、特に女性管理職の採用は難航しているのが現状です。
 

「2018年は売り手市場で、語学能力や金融業界経験がある候補者は特に有利でした。大幅な給与アップを提示されるケースは少なかったものの、幅広い選択肢を検討しながら転職活動を進められる市場条件が揃っていたと言えます。採用を検討する企業は候補者のニーズに耳を傾け、適切な対応を怠ると採用のチャンスを逃すかもしれないという危機意識を持ってプロセスを進めることが必要です。フレックスタイム制や在宅勤務制度は徐々に広がっており、こうした制度を導入済みの企業はその点をアピールすべきです。逆に導入がまだの企業は勤務制度の見直しを強くお勧めします。」とカイダツィスは語ります。
 

人工知能(AI)をはじめとする先端技術も引き続き雇用市場に大きな影響を与えています。雇用者側では業務効率化やコスト削減、利益率の改善を狙って新たなテクノロジーをどう活かすか、模索が続いています。採算性が悪化している業界もあり、新技術の利活用は大きな課題です。労働者側に求められているのは収益を生み出す部門と緊密に連携し、ビジネスにとって付加価値が高い貢献ができるよう努力することです。
 

モーガンマッキンリー・ジャパンの2019年給与ガイドは2018年の雇用市場や労働環境などに関する動向や給与水準を振り返り、2019年の市場を予測するものです。経理・財務、リーガル&コンプライアンス、人事、IT、コンサルティング&プロフェッショナルサービス、リスクマネジメント、セールス&マーケティング、アセットマネジメント、金融フロント・ミドル・バックオフィス職の情報をご覧いただけます。
 

モーガンマッキンリーの2019年給与ガイドは、2018年における当社独自のデータと年間を通しての採用動向、及び2018年11月に600名を対象に実施した調査結果を基に作成しています。

 

Lionel Kaidatzis's picture
マネジング ディレクター
lionel@morganmckinley.co.jp