米国大学留学を検討するに際して

熊沢 義喜 19 Nov 2018

最近では日本国内有数の進学校から直接ハーバードなど米名門大学への進学例が増加中です。外資系投資銀行など金融機関がクライアントですが、米国への学部留学経験者の占める割合は高まっています。特にフロントオフィス(収益部門)であるセールス及びトレーディング業務(グロバール・マーケッツ部門)においてその傾向は顕著です。

その背景とは?
 
外資系投資銀行の主流はモルガンスタンレー、ゴールドマンサックス、メリルリンチ、シティグループ、JPモルガンなど米国系。学部出身の新卒採用も多く、ヨーロッパ系など中途採用中心の外資系投資銀行も米国流の影響大。米国学部留学経験者が新卒もしくは中途で採用される割合が多い背景の要因として、米国系投資銀行各社が業界リーダーである点。

外資系投資銀行の業務内容は大きくわけて、M&A、コーポレイトファイナンスを行う投資銀行部門とグロバール・マーケッツ部門。投資銀行部門は国内で完結する業務が多い。
一方でグロバール・マーケッツ部門は海外とのやり取りが日常的であり、より米国のカルチャーを反映。よって米国カルチャーの理解度が高い米国学部留学経験者の採用が好まれることが背景。

外資系投資銀行における米国的カルチャーの例

  • 容姿が与える印象:日本人の肥満は、米国標準で問題なくむしろ線が細いと頼りない印象(筋トレで鍛えることが望ましい)
  • マネジメント方式:トップダウンが主流で白い猫も上司が黒いと言えば、黒い猫(ボーナスと昇給は直属の上司が決める)
  • 根回しに関して:飲み会、特に二次会では人事絡みの話が交わされる(同じペースで飲めるのはアドバンテージ。特にビール。  )

米国への学部留学経験者の有利な点

学部留学は感受性及び吸収力が高い世代での経験者が多く、米国的カルチャーの飲み込みが早い。パーティなど授業以外の経験を積む機会が多い。

注:

  • 金融機関における米国留学の定番は、MBAやロースクールなどの修士課程
  • メガバンクもしくは大手証券による企業派遣が一般的
  • 学業(社業を含むケースも)に忙殺されるケースが多い

米国大学留学を検討するに際して 、代表的な質問をまとめました 

学部留学に関する、一般的な事例であり私自身の米国大学留学経験(ミシガン州)が基本
米国内の50ある州、4635校といわれる大学(カーネギー教育復興財団統計)により事情は大きく異なります。ご参考にして頂ければ幸いです。

  1. 米国大学の現在の学費

 一般的な目安としては、「州立大学の授業料は1万5千ドル、私立大学の場合は3万5千ドル」。

日本国内における目安(初年度納入金)は国公立大学で80万円、私立大学で130万程度
国内と比較して、非常に高額である。米国留学では学費の安い(日本国内と同様水準)コミュニティカレッジ(2年生)入学後、3年次編入が増えている。又、州立大学が主流で学費の比較的安いカナダ留学を選択肢とするケースも最近は多い。

  1. 米国大学学費の80年代との比較

1980年と比べると、米大学の学費は米国の平均所得の伸びを17倍上回るペースで拡大している。

学費は高騰しており例えばミシガン州の大学の例では;

  • 私立:ホープカレッジ:80年代の学費:US$8,000 2016年の学費 US$29,560
  •  州立:グランドバレー州立大学:80年代の学費:US$3,000 2016年の学費 US$15,385

学費増加の要因は?

  • 米国政府からの助成金の減少
  • 図書館、体育館、劇場、アメリカンフットボールスタジアムなど;
  • 優秀な生徒獲得の為、設備投資が大幅に増えている

日本から米国留学に関して重要な検討点はドル・円の為替レート

  • 現在の為替レートは1ドル113円台と円高で推移
  • 一方で80年代はドル安・円高のトレンド。始値(80年)は1ドル240円、 終値(89年)は1ドル143円、最高値(82年)は1ドル277円

以上の為替トレンドを勘案して学費の推移を昔と今で比較:

日本円換算での1980年代の学費に関して、最高値(82年)の1ドル277円で計算したケースでは:

  • ホープカレッジ:80年代の学費:US$8,000 =221万6000円
  • グランドバレー州立大学:80年代の学費:US$3,000=83万1000円

日本円換算での現在の学費に関して、現在の為替レートの1ドル113円で計算したケースでは:

  • ホープカレッジ:現在の学費:US$29,600 =334万4800円
  • グランドバレー州立大学:現在の学費:US$15,385=173万505円

以上から、最高値(82年)の1ドル277円 から現在の為替レートの1ドル113円と大幅な円高が進行にも拘わらず、日本円換算でも米国大学の学費は高騰していることがわかる。

  1. 奨学金に関して

滞在費も含めて4年間の学費をカバーする奨学金は非常に稀で、全額自己負担が原則

  1. 日本人留学生数の推移

 米国への留学生数全体(4年生学部以外も含む)は減少傾向にある。
1999年(過去最高人数):約46,000名 → 現在:約19,000名

要因として:

  • 米国大学学費の高騰、日本国内の家庭の年収減少、国内大学数の増加、
  • 国内大学での英語授業増加(立命館アジア太平洋大学など)、若者の地元志向の増加、少子化の進行など複合的な要因
  1.  卒業後の日本人留学生数の就職

米国内での就職(インターンなど除き)は稀、基本的に下記の方法により日本へ帰国して就職する方が大多数。

  • リクルート社による新卒向け就活リクナビ
  • 各会社への直接応募
  • ボストンキャリアフォーラム(東京でも開催)など
  1. 米国大学への留学方法
  • 大学へ直接応募、留学斡旋機関を通じて提携大学へ進学、語学学校→ 大学
  • コミュニティカレッジ→ 大学 日本の大学→ 大学 
  1.  米国大学の選考方法
  • AO入試が原則で、各大学による入学試験は一般的には行われない
  • 高校の成績証明書及び英語力テスト(TOEFL)の成績
  • 大学により、志望動機書及び推薦文が必要なケースも有り
  1.  TOEIC とTOEFLの違いとは?

TOEICは:

  • 「Test of English International Communication」の略
  • 実践的な英語コミュニケーション能力を試すテスト
  • 試験時間:2時間
  • 日常会話やビジネス会話がよく出題される
  • 日本国内の大手企業や外資系企業により、広く採用されている

TOEFLは:

  • 「Test 0f English as a Foreign Language」の略
  • 海外留学のための試験で、英語を母国語としない国の人たちを対象に実施
  • 試験時間:4時間
  • 試験はアカデミックな内容
  • 米国、英国、カナダ、オーストラリアの大学により、広く採用されている
  1. 留学するメリットとは?
  • 語学力、緊密な留学生同士のネットワーク、特に金融機関への就職が強い、
  • 海外駐在の可能性が広がる
  • 孤独に耐える力がつく
  • スピーチがうまくなる、
  • 人見知りがなくなる
  • スポーツをする機会が多い
  • アメリカ人以外の知り合いも増える
  • プロスポーツにはまる(NFL, NBA, NHL, MBL 
  • 、映画に詳しくなる
  • カクテルの種類を覚える
  • ビリヤードやダートを覚える
  • そして日本が素晴らしい国である点を再認識すること、等

 
米国大学留学の個別事例に関して
 
金融ヘッドハンターの観点からお話できます。

金融機関プロフェッショナルにおける事例の紹介など、個別事例に関しては、お気軽にお問い合わせ下さい。

Yoshiki Kumazawa's picture
シニアマネージャー | 銀行&金融, フロントオフィス 紹介部門
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