人工知能の三類型と労働の未来

近年、急速に存在感を増している人工知能。その種類とは?実用化の見通しは?仕事が本当になくなるの?そんな素朴な疑問に答えます。

近年、様々な企業がAI技術(人工知能)を活かしたシステムを導入し、プロセスの自動化をすることでヒューマンエラーをなくし、人間がもっと「付加価値の高い」仕事に従事できる環境をつくろうとしています。
 
しかし現在のところ、こうしたシステムは人間のIQと同等・同質ではなく、コンピューターが行える作業に限界があります。ここでは基本に立ち返り、AIとは何か、どうすればAIとうまく共存できるのかを考えてみたいと思います。 

AI(人工知能)とは?

人工知能には大きく3つのカテゴリがあります。特化型人工知能(Narrow AI)、汎用型人工知能(General AI)、そしてスーパー人工知能(Super AI)です。
 
【特化型人工知能】(Narrow AI)
“Weak intelligence”とも言います。特定の決まったタスクを行うためのAIで、現在人工知能と呼ばれるものは全てこのカテゴリに該当します。AppleのSiri、Amazonのアレクサ、Google Homeなどを思い浮かべてみてください。何を聞いてもそれなりの答えを返してくれる機能は確かにすごいですが、実際はウェブにある膨大なデータを使って質問に答えたりアクションを起こしているだけで、「考える」能力を備えているわけではありません。これこそが次のカテゴリ、「汎用性人工知能」の領域で、GAFAを始めとする世界の大手企業は莫大な資金を投じて研究開発を競っています。現場での導入が進むRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も、所与のルールやガイドラインに従ってタスクを遂行するプログラムなので、特化型人工知能の一種と思ってよいでしょう。
 
【汎用型人工知能】(General AI)
「AI」と聞いて多くの方がイメージするのが、汎用型人工知能でしょう。あらゆる問題を知能を使って解決し、人間のように抽象的に物事を考えることができる機械です。映画では人間と物理的に対話ができるロボットとして描かれることが多いですね。汎用型人工知能の定義や、何をもってこのタイプのAIを「実現した」と言えるのかについては諸説あります。私がざっくり調べたところでは、「人間と同じことができるコンピューター」と考えるのが最もわかりやすそうです。大学を卒業する、お茶を淹れる、ロボットと話してるという違和感を感じさせることなく人間と会話ができる、など。私たち人間がさりげなくやっていることも、コンピューターにとっては非常にハードルが高く、実現の目途は全くたっていません。 

【スーパー人工知能】(Super AI)
オクスフォード大学の哲学者 Nick Bostrom によればスーパー人工知能とは次のように言います。

「最も優れた人間の知能よりも、科学的創造性・一般知性・社交性などほぼ全ての分野において格段に優れた知能」

数年前に「DeepMind」という人工知能がトップクラスのプロ棋士を破り世界に衝撃が走りましたが、これはプログラミングと特定のタスクを学習させることで達成した勝利です。DeepMindといえども複数のタスクで優れたパフォーマンスを出すことはできませんし、新しいものを創造することはもちろんできません。スーパーAIは今まで人間が頭を悩ませてきた問題を解決し、世界をドラスティックに変えられる可能性を秘めています。 しかしここまでくると、人間の存在意義が問われることも確かです。このタイプの知能をつくることは、奇跡的な発展のきっかけになるかもしれない一方、破滅につながる可能性も秘めています。
 
スティーブン・ホーキングは次のように述べています:

「簡単に言ってしまえば、強力なAIの登場は人類史上最高の出来事、もしくは最悪の出来事になるだろう。どちらになるかは、まだわからない」
(※英文のみ) 

AIと労働の未来

職が増える
人間がAIに仕事を奪われることを懸念する人もいますが、実際には職が増えるといわれています。多くの研究者はAIによって不要になった仕事の数と同じだけ、AIの導入によって新たな仕事が生まれる(特にデータサイエンス系)と予測しています。アルゴリズムの有効活用を目指す「機械対応マネージャー」のような全く新しい職種が登場する可能性もあるでしょう。また、AIでは代用できない仕事もあります。人間関係や信頼、リーダーシップ、創造力、共感力が要となる職はAI革命の影響を免れると考えてよいのではないでしょうか。

今までより楽になる仕事も
採用や人材紹介・人事などの分野では、AIによるプラスの効果が期待されています。例えば採用やパフォーマンスマネジメントにおいて、マネージャーの先入観を挟むことなく客観的に実力を評価することができるようになったらどうでしょう。部署が効率よく回るようになり、マネージャーは戦略企画やダイバーシティの実現といった重要課題に集中することができるはずです。 
 
生産性の劇的な向上
PWCが最近発表した報告書によれば、AIドリブンのソリューションを導入した企業の54%で既に生産性の向上が確認できているといいます。AI導入や機械学習(ML)によるプロセスの効率化などで、企業はコスト削減やサービス改善が可能になり、結果、利益率がアップしお客様も満足する、というわけです。

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今後AIの普及が進むにつれてそのメリットも明らかになり、近い将来仕事にAIを使うことが当たり前になるでしょう。スーパーAIがいつ実現するのか、そもそも実現できるのか、それはまだわかりませんが仕事のあり方は既に変わりつつあり、いい方向に向かっているとも考えられます。今まで必要とされていた仕事がなくなる反面、新たな職が生まれ、ロボットでは代用できない仕事が残っていく―それが労働市場の未来でしょう。

William DeLorme's picture
ディレクター | テクノロジーチーム紹介部門
wdelorme@morganmckinley.co.jp