一流の人材が転職する理由、入社を決める理由

河野 次男 12 Sep 2019

優秀な人材の採用が組織運営を左右することは、多くのビジネスパーソンが実感しているところでしょう。更に今年は、経営の関心事を訊ねる調査において「人材」が久しぶりに一位になりました。有能な人材の確保・維持・開発についてのノウハウが足りないと感じている企業は多いのではないでしょうか。

「時は金なり」と言います。しかし優秀な人材の採用ほど時間のかかる仕事はありません。面接をしているその間にも他の仕事はどんどん溜まっていきます。それでも適切な人材の採用を優先すべき理由は、採用ミスのリカバリーに更に時間がかかるからです。
 
現在、世界中の企業がテクノロジーやIT、アナリティクス、戦略、イノベーション、トランスフォメーション、チェンジマネジメントやカスタマープロジェクト・デリバリといった分野に投資しています。同じ人材を求めて各社が競い合う中、「我が社の差別化要因は何なのか?」と自問している採用担当者もいらっしゃるでしょう。数か月後に同じ求人をポスティングしなくて済むよう、一回で適材を採用するにはどうすればいいのでしょうか?
 
そのノウハウは追って共有させて頂きますが、まずMorgan McKinleyがどのようにしてタレントアトラクションやタレントリテンションに関する洞察を得るに至ったか、その経緯をお伝えいたします。

Morgan McKinleyリーダーシップ調査について

リクルートメントを専門に行う当社では、様々な業界や分野で活躍する人材と毎日コミュニケーションをとっています。彼らが何を不満に感じて転職をしたいと考えているのか、次の会社や仕事に何を求めているのか、個別具体的な事例を何千何万と積み重ねています。また、人事や部署の採用担当者とのやりとりを通じて、企業側がどんな点で苦労しているのかも熟知しています。タレントアトラクションにおいて競合に差をつけるにはどうすればよいのか、私たちは 実際に数多くのケースを見てきています。この知見を活かして何かできないかと昨年、コーチングなどのサービスを提供しているThrive Advisoryと提携して行ったのが以下ご紹介するリーダーシップ調査です。 
 
本調査では、統計をとれるよう選択形式の質問も設けましたが、定性データに重きを置き多くを自由回答という形にしました。その結果、多種多様なテーマが浮き彫りになり、有意義な洞察を得ることができました。
 
調査では、715名の経営者やリーダーにご回答いただきました。

  • CEOやCレベルの経営幹部
  • 取締役やディレクター
  • ビジネスリーダー
  • ピープルリーダー
  • 人事関係者や人事の専門家
  • エグゼクティブ・コーチ
  • その他経験豊富なビジネスパーソン

当社のノウハウだけでなく、データに裏付けされた動向がタレントアトラクション、タレントリテンション戦略にお役立ていただければ幸いです。

入社の決め手となる要因について

一流の人材を採用したいのであれば、優秀なプロフェッショナルの意思決定パターンを知っておくべきです。彼らは何を求めているのか?どうすれば彼らを惹きつけることができるのか?退職を決意した理由と、入社の決め手となった要素をそれぞれ複数回答(3つまで)で答えてもらったところ、退社・入社の際に重視するポイントが全く違うことがわかりました。一見矛盾しているようにも見える、興味深い結果となりました。

一流の人材が転職する理由、入社を決める理由

【給与・褒賞】
全回答者の31%が「入社の際に金銭面を重視する」と答えていますが、「待遇が原因で退社を決意する」という人はわずか3%に留まりました。内定を提示する際は市場の給与水準をしっかりリサーチした方がよさそうです。単純な額面だけでなく、労働時間や会社の人事予算も加味すべきでしょう。
 
またグラフが示している通り、金銭的な報酬は得票数では6番目という結果でしたが、割合で言えば3人に1人が重視すると答えています。やはり給与・褒賞はタレントアトラクション戦略を練る上では欠かせないファクターと言えそうです。
 
【経営陣のリーダーシップ】
採用面接中や入社直後は経営陣の「リーダーシップ」を重視する人が多いようです。その一方で、「経営におけるリーダーシップの欠如」が転職の引き金となることが少ないというのは興味深い結果です。
 
転職先を選ぶ際に「経営陣のリーダーシップ」を重視する人は全体の半数近い46%で、最も多い回答でした。幸い、リーダーとして一流の人材を惹きつけるためにどうすればよいかについては、既にたくさんの記事(※英文のみ)や研究があります。また、リーダーシップに次いで多かった回答には、「自分の成長やキャリアアップにつながる」(42%)、「チームワークやコラボレーション」(40%)などがありました。

退社を決めた理由について

一流の人材が転職する理由、入社を決める理由

「入社時に社風を重視する」と答えた回答者はわずか3%でした。一方、「社風」は退社を決意した理由のナンバー1です。回答者のなんと3人に2人が、「社風が合わない」(42%)、又は「会社のバリューに共感できない」(25%)という理由で会社を去っていることが分かりました。
 
【直属の上司との関係】
社風と並んで、会社を辞める決断に最も大きな影響を与えているのが直属の上司との関係です。回答者の42%が選択しています。
 
【活躍の場がない】
転職の理由として「スキルを活かすチャンスがない」と回答した人は全体の32%でした。「仕事に飽きた・新たなチャレンジを得たい」(28%)、「意味のある仕事ができない」(28%)と回答した人も相当数いることがわかりました。少なく見積もっても3人に1人が、自分のポテンシャルを活かせていないと感じて転職に踏み切っていることがわかります。多くの企業が効率化やリソースの有効活用を合言葉に社内改革を進めているにもかかわらず、このように感じている人材がたくさんいることは大きな問題ではないでしょうか。
 
 
この調査結果を受けて、Morgan McKinleyでは四半期のスタッフレビューの際に以下、2つの質問を追加しました。
「現在のポジションで持っているスキルを全て活かしきれていると感じているか」
「他に活用したいスキルはあるか。あるとしたら、どこの部署で最も活かせると思うか」
 
このテーマについてもっと詳しく知りたい方は、フェイスブックの社員に関するケーススタディなど、アダム・グラント博士の研究(Goler, Gale, Harington & Grant, 2018;Harvard Business Review)の記事が参考になるかと思います。(※英文のみ)

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Tsuguo Kohno's picture
ディレクター | アセットマネジメント、プライベートバンク 紹介部門
tkohno@morganmckinley.co.jp