カルチャーフィットは採用の決め手

熊沢 義喜 09 Sep 2019

採用におけるカルチャーフィットを一言で表すと「職場での相性が合うかどうか」です。特に、少数精鋭で運営している外資系金融ではカルチャーフィットを重視しています。

大手外資系投資銀行では、国内金融機関を大きく下回る陣容で東京拠点は約1000名前後が在籍しています。外資系商業銀行では50名から100名程度、PEファンド、ヘッジファンドにおいては大手でも東京拠点は20名前後です。少ない陣容ゆえに採用には慎重で、カルチャーフィットが選考で大きなウエートを占めます。 選考過程でカルチャーフィットを評価する作業のことを「ケミストリーチェック」と呼び、厳格に判断されます。

社風とカルチャーフィットの関係は?

外資系投資銀行の社風に関して、各社で良く聞くものとして体育会系、温和、真面目、スマート、知的、日系企業的、等があげられます。社風は会社全体の傾向を表すものであり、必ずしもすべての部門に当てはまる訳ではありません。

部門の雰囲気とカルチャーフィットの関係は?

外資系投資銀行における投資銀行部門の雰囲気は日本人らしさといえるでしょう。投資銀行部門は、特に大手であればほとんどの従業員が日本人です。M&A、コーポレイトファイナンスなどを行う同部門では顧客の大半が国内であり、外資系とはいえ日本文化に根ざしたビジネスマナーが必須となります。また、プライベートエクイティファンド は投資銀行部門と似た雰囲気にあり、国内顧客が中心であるため、日本文化に根ざしたビジネスマナーが必須となります。
 
その一方で、外資系投資銀行におけるグローバルマーケット部門の雰囲気はインターナショナルです。グローバル・マーケッツ部門は、部門ヘッドに外国人も多く、より国際的な環境です。セールス、トレーディングなどを行う同部門では海外拠点との密接な連携が必要であり、圧倒的に本国のカルチャーを反映しているケースが多いと言えます。ヘッジファンドもまた、グローバル・マーケッツ部門と似た雰囲気にあります。こちらも海外拠点との密接な連携が必要であり、本国のカルチャーを反映しているケースが多いです。
 
社風、会社全体の雰囲気はカルチャーフィットを構成する要素の一部でしかありません。しかし、採用される部門の雰囲気に合致するかどうかというのが重要な要素となる場合が多々あります。

採用におけるカルチャーフィットを構成する要素は何か。

 部門の採用を担当するラインマネージャーが判断材料とする要素を挙げていきます。
 

  • 性格:職場に溶け込むことができそうか
  • チーム:チームの構成メンバーとの相性はどうか
  • 価値観:会社、マネージャー、そしてチームとの価値観の共有
  • 環境
  • ドレスコード
  • 同僚との関係
  • 関連部署との関係
  • 採用担当マネージャーの経歴との比較
  • チームの構成メンバーの経歴との比較:特に過去に採用して成功した候補者との比較

 
【性格:職場に溶け込むことができそうか】  
職種によって、性格のタイプは大まかにですがわけることができます。
例えば、セールスは外交的な人種で、トレーダーは内向的など、一概には言えませんが、似たタイプの性格の候補者を採用する傾向が強いです。判断材料となるのは、一緒に職場で働いているイメージが沸くかどうかです。
 
【チーム:チームの構成メンバーとの相性はどうか】 
いかに候補者が現在のチームにフィットするか、を考慮します。
例えば、経験レベルがチームが求めているジュニア(もしくはシニア)レベルであるか、カバーしているクライアント、商品などのスキルセットがチームが求めているものであるか、等があげられます。チームと相互補完できる人材の採用が理想とされています。
 
【価値観:会社、マネージャー、そしてチームとの価値観の共有】  
それぞれの組織、職場では共有する価値観があります。有名なところでは、ひと昔前に良く伝えられた三菱財閥と三井財閥の価値観が例にあげられます。「組織の三菱、人の三井」。組織を重視するか、個人を重視するかといった価値観の違いがあります。価値観の合う人の採用は、長期的な観点からは特に重要とも言えます。
 
【環境】
ここでの環境は様々なことを指します。職場の場所、オフィスの様子(フリーデスク制などのレイアウトも含めて)など物理的環境や、稟議書や会議の方式、勤務時間(フレックスタイム・リモートワークも含めて)などの勤務体制。職場環境にあう人の採用を前提に考慮されます。
 
【ドレスコード】
白いワイシャツかピンクのボタンダウンか、黒いビジネスシューズか明るいブラウンのビジネスシューズか、またはフォーマルな服装かカジュアルな服装かなど、一見見落としがちですが、服装もカルチャーフィットを構成する要素の一つです。
 
【同僚との関係】 
チームを構成するメンバーそれぞれが、候補者と一緒に働くイメージがわくかどうかが重要なポイントになってきます。また、逆に候補者がチームを構成するメンバーそれぞれと一緒に働くイメージがわくか、毎日顔を合わせる同僚と良好な関係が築けそうかなどを考慮します。チームメンバーとの面談を通して得られるフィードバックは、重要な判断材料となります。
 
【関連部署との関係】
例えば、投資銀行のセールス部門で採用を進めるケースにおいては、密接な関連部署であるトレーディング、リサーチからの意見は欠かせません。関連部署の担当者との面談は重要な採用プロセスです。採用する職場に加えて、関連部署とのカルチャーフィットがある人の採用が前提となります。
 
【採用担当マネージャーの経歴との比較】  
部門の採用を担当するラインマネージャーは、候補者と自分自身を比較します。出身地、学校、クラブ活動、趣味、特技、性格、そしてキャリア。共通点はカルチャーフィットに繋がります。総合的にみて自分自身と親和性がある候補者を採用するのが王道とされています。
 
【チームの構成メンバーの経歴との比較:特に過去に採用して成功した候補者との比較】
部門の採用を担当するラインマネージャーは、候補者とチームの構成メンバーも比較します。出身地、学校、クラブ活動、趣味、特技、性格、そしてキャリア。特に過去に採用して成功したメンバーとの共通点をスクリーニングします。総合的にみて成功の可能性が高い候補者を採用する手法です。

採用におけるカルチャーフィットを確かめる方法  

候補者のカルチャーフィットを確認するには複数の方法があります。
代表的なものとして面接、適性テスト、インフォーマルミーティングがあげられます。
 
面接

  • 複数の異なる面接手法が有効
  • 異なるメンバーによる面接を実施
  • 部門の採用を担当するラインマネージャー 、チームの構成メンバー、関連部署のシニアメンバー、人事などとの面談
  • 複数メンバーの視点による候補者の評価を行うことにより、カルチャーフィットを確認
  • コンピテンシーベース・インタビューの実施
  • コアな価値観に基づく決まった質問をすべての候補者に実施
  • 同じ質問をすることにより、より正確に各候補者のカルチャーフィットを確認

 
適性テスト 

  • 職場にとってどれほど適した資質を持っているかを判断するテスト
  • 人間性、考え方、性格などを定量的に測定する手法
  • 一定の精度で候補者のことを客観的に測定することにより、カルチャーフィットを確認

 
インフォーマルミーティング 

  • カジュアルな面談により、候補者との相性を探るのが目的
  • 候補者との情報交換と称したミーティングや、お茶、ランチ、ディナーなどを指す
  • より自由な形式の面談で、候補者のカルチャーフィットを確認
     

こちらの記事も是非あわせてお読み下さい

金融フロントオフィス記事一覧

「カルチャーフィットは採用の決め手」。履歴書だけでは、候補者が職場で活躍できるかどうかを判断することはできません。逆もしかり、会社名と職種だけでは良い職場かどうかを判断することはできません。良い候補者、良い職場をお探しであれば是非、お気軽にご相談下さい。

Yoshiki Kumazawa's picture
シニアマネージャー | 銀行&金融, フロントオフィス 紹介部門
ykumazawa@morganmckinley.co.jp