「業界経験」のハードルを超えるには?

「業界経験」のハードルを超えるには?

経理財務は、業界をまたいで活躍できる「手に職」的な要素の強い仕事のひとつですが、全く未経験で異業種にチャレンジできるものかどうか、ご相談を受けることが多いので今日はひとつ、最近のエピソードをご紹介します。

最初に断っておくと、もちろん、業界経験があれば有利にはなります。職務内容によっては、新しく雇うファイナンシャルアナリストには商品知識や業界規制の知識が必須と財務部長が判断する場合も当然あります。また、必須でなくても、競合他社で勤務経験がある候補者は、マネージャーへのステップアップ、財務からFP&Aへの職種転換、或は給与アップなど、交渉をうまく進められるなどのアドバンテージが考えられます。

ですが、業界間の転職のハードルが棒高跳びのように高いかというと、決してそうではありません。

二人の候補者が業界経験以外において全て同等である、という場合は現実にはほとんどあり得ませんので、業界経験が絶対必須である場合を除いては、他のスキルで勝負するチャンスはあると思っていいでしょう。鍵は、モチベーションと、情熱と、ほんの少しの発想の転換です。

最近あるエネルギー系の会社でファイナンスマネージャーの採用案件に関わりました。その会社のCFOの方は、業界経験は全く問わない、と最初からおっしゃっていました。その言葉通り、実際書類選考を通過した方の出身業界は、

  • 医療機器
  • 自動車
  • コンサルティング会社
  • エンジニアリング
  • IT(ソフトウェア)
  • エネルギー

 

でした。

そして、エネルギー出身の方は、二次面接には進みませんでした。規模の小さなビジネスでリーダーシップを発揮できるかどうか?という観点から選考を進め、二次面接に進む人が決定したのです。具体的には、


「大企業に勤めているにも関わらず、他部署が何をしているかにも自ら興味を持ち、会社全体がどう動いているのかをよく理解している。我が社の規模ではこうした仕事への姿勢が欠かせない」

「自ら課題を見つけ、アクションを起こして解決に導いた実績がある」

「自分のキャリアパスだけでなく、未経験ながらも会社や商品についてよく調べてきており、業界に興味を持ってくれているのがわかった。こうした情熱はリーダーに必須と考える

 

といった点が評価の対象になりました。

中小企業(世界的に大きな母体であっても、日本支社が100人未満、という外資系企業も多いかと思います)の場合、こうしたスキルは業界経験以上に重要である、というのがこのCFOの見方なのです。

業界経験から得られるものは多くあります。例えば、ビジネスモデルの理解(財務分析には重要です)、商品知識、競合や業界のトレンド。しかし、この例からもわかる通り、業界経験だけで転職の成否が決まる訳ではありません。経理財務のプロフェッショナルとして求められる要素は実に多岐にわたります。特に、ファジーな分、軽視しがちなソフトスキルにも目を向けてみてください。上記を参考に、ほんの少し見方を変えるだけで、今まで見過ごしていた自分の「スキル」が浮かんでくるはずです。

こうしたものが成功要因になり得ると思うと、転職のチャンスを掴めそうな気がしませんか?こうしたものが成功要因になり得ると思うと、チャンスを掴めそうな気がしませんか?ポイントは、必ず実例や実績を交えてソフトスキルを語れるように(或は職歴書に記載するように)することです。説得力のあるプレゼンができる場合、こうしたソフトスキルは(本を読んだだけでは得られない知識なだけに)立派な武器になると思っていいと思います。

違う業界で活躍できるのは経理財務の一つの特権でもあります。経験がないからといって二の足を踏んでいる方は、是非自分の持つスキルをもう一度見つめ直してみてください。転職は、自分の未来を自分の手で決めるチャンスなのですから。

Brendan Walsh's picture
アソシエイトディレクター | 人事、経理・財務 紹介部門
bwalsh@morganmckinley.co.jp