金融業界、海外勤務への近道は?

Yoshiki Kumazawa 13 May 2019

投資銀行、銀行、そしてPE及びヘッジファンド;いずれの業界出身の方からも良く聞かれる質問があります。「海外勤務のポジションはありますか?」

良く聞く話ですが、現実としてはチャンスはそう多くありません。
特にニューヨーク、ロンドンにおける案件は労働ビザの取得が難しいこともあり、ほとんど無いのが現状。 アジアでも、シンガポールは外国人向けの労働ビザの審査が近年は厳しくなっています。
 
海外勤務のチャンスが少ないのは、意外かもしれません。金融はインターナショナルな仕事ですから。
大手の証券会社はメガバンクはMBA留学制度もあり、海外進出の歴史も古い。外資系投資銀行は世界中に充実した拠点を有する。外資系PEも世界中で投資を行っている。
では現状を見てきたいと思います。 

大手の証券会社及びメガバンクの現状

大手の証券会社及びメガバンクは世界中に現地法人、支店などを持っています。絶対数としては、海外で働く社員が多いのは事実。ですが非常に多い社員数と比較した割合では、海外駐在員は相当の少数派。又近年では各海外拠点の現地化が進んでおり、海外勤務のチャンスは少なくなっています。
 
ほとんどの大手日系金融機関では企業派遣によるMBA留学制度があります。MBA留学は、海外勤務の近道です。理論的には近道に聞こえますが、必ずしもそうではありません。大手日系金融機関は社員数も非常に多く、企業派遣によるMBA留学は狭き門。
 
門戸が比較的広いのが、若手研修制度としての海外拠点にトレーニーとして配属するケース。海外提携金融機関への出向のケースも有。国際金融公社、アジア開発銀行といった国際機関へ出向する例も。

外資系投資銀行の現状

投資銀行部門(IBD)では歴史的にみても、可能性がほぼ無い状況です。M&A, ECM, DCMなどコーポレイトファイナンス担当部署でクロスボーダー案件はありますが、基本的に日本国内の業務に集中しており、海外勤務への近道といえません。例外的に、1年間のトレーニー勤務としてニューヨーク勤務の制度を持つ米系投資銀行有り。
 
マーケット部門では、以前はニューヨークもしくはロンドンにおけるジャパンデスクでのチャンスが多くありました。現地時間で外国債券(外国株式)セールス&トレーディングを行うポジションですが、各社でジャパンデスクは縮小されており、日本採用で海外拠点派遣の道は厳しい状況。米国におけるジャパンデスクの最近の募集案件では、米国永住権(グリーンカード)保有が応募資格。

PEの現状

プライベートエクイティの世界では、現地主義の考え方が基本。例えば外資系PEでも日本投資を行う場合、日本国内の拠点に勤務するのが一般的。投資候補先、そして既存投資先と日常的に密接な関係が築くことが重要な為。
バイアウト投資は市場を介さない相対取引が主流であり、国内のビジネスは国内で、海外のビジネスは海外で完結するケースが多く、国際間の人材流動性は低い。
 
日系PEファンドではいくつか、海外勤務の事例がある。いずれも東京本社に入社、そしてシンガポール拠点への転勤事例。
外資系ファンドの一部では、企業派遣MBA制度を持つファンド有。MBA取得後、米国拠点において1年間程度勤務するケースも。
 
海外勤務への近道
 
業種として海外勤務への近道は外資系銀行、そしてヘッジファンド。外資系銀行のケースでは海外で日系企業を担当するジャパンデスクが多い。ヘッジファンドのケースでは、香港もしくはシンガポール拠点のファンドで日本株担当例が多い。
では、それぞれのお薦めのポイントを見てきたいと思います。

外資系銀行

輸出輸入業務を行うトレードファイナンス、国内及び国外の各拠点で決済を行うキャッシュマネジメントは外資系銀行のドル箱業務。
外資系銀行のビジネスモデルにおいて、クロスボーダー業務は大きな比重を占めます。
日常的に、国際業務を担当するケースが非常に多い。
又、海外におけるジャパンデスクは拡大傾向にあります。
外資系銀行移籍は、将来における海外勤務の近道といえます。

ヘッジファンド

もし海外勤務を希望されている場合は、ヘッジファンドが相対的にチャンスが大きい。
但し、各ファンドは少数精鋭で運営しているケースがほとんどで、求人の絶対数は少ない。
 
多くのヘッジファンドは税制及び投資規制上の観点から日本拠点を持っておらず、香港及びシンガポールに対日投資関連のヘッジファンドが集中。又、ロンドンにおいても日本投資関連のヘッジファンド有り。
市場における流動性の高い商品に投資しているケースが主流であり、ヘッジファンドが必ずしも国内拠点が必要でない点も大きな要因。
 
海外勤務のケーススタディ

大手証券会社での事例

  • 外資系投資銀行に新卒で入社、投資銀行部門に配属。
  • M&Aアドバイザリー部門のVPとして、頭角を現す。
  • 学生時代に留学経験があり、強い海外志向から海外勤務の機会を社内及び社外で模索。
  • 大手証券会社のM&Aチーム東京拠点へ入社。
  • 1年後、本人の強い希望により本社派遣の駐在員としてロンドンへ転勤。 

メガバンクでの事例

  • 外資系投資銀行に新卒で入社、投資銀行部門に配属。
  • アナリストとして幅広い業務をローテーションで経験。
  • メガバンク東京拠点、プロジェクトファイナンスチームへ移籍。
  • シンガポール拠点へ転勤。

外資系投資銀行での事例

  • 大手証券会社に新卒で入社、外債セールスチーム配属。
  • 米国債セールスを主に経験。
  • 外資系投資銀行東京拠点、外債セールスチームへ移籍。
  • ニューヨークのジャパンデスクへ転勤。

PEでの事例

  • 外資系投資銀行に新卒で入社、投資銀行部門に配属。
  • M&Aアドバイザリー部門のアソシエイトとして、頭角を現す。
  • 強い海外志向があり、又バイサイドの機会を模索。
  • ドバイ本社の外資系PEへ移籍。

外資系銀行での事例

  • メガバンクに新卒で入社、幅広い業務をローテーションで経験。
  • トランザクションバンキング部門VPとして、実績を残す。
  • 外資系銀行東京拠点、 トランザクションバンキング  チームへ移籍。
  • ロンドンのジャパンデスクへ転勤。 

ヘッジファンドでの事例

  • 外資系投資銀行に新卒で入社、投資銀行部門に配属。
  • M&Aアドバイザリー部門のアソシエイトとして、頭角を現す。
  • 外資系ヘッジファンド香港拠点、日本株ロングショートエクイティのインベストメントアナリストとして移籍。

最後に
 
以上が弊社における海外勤務のケーススタディとなります。
弊社では投資銀行、銀行、PE及びヘッジファンドでそれぞれ専門にサーチしているコンサルタントがおります。業界ごとに異なる最新の動向をアップデート可能。
ニューヨーク、ロンドン、アムステルダム、ドバイ、香港、上海、シンガポール、ボンベイなど案件取扱い実績有り。

具体的な海外拠点の募集案件、または採用動向に関してはお気軽にお問い合わせください。